興奮のるつぼにあるベルヌープ国コロシアム。
その中心にいる人物は、
剣闘士に相応しくない赤いドレスに身を包んでいた。
飢えた狼に対峙する彼女に浴びせられるのは声援ではなく罵声、
狼を倒せば倒す程、その度合いは強くなる。
彼女は隣国、バスティアの王女スカーレット。
紛争の絶えない両国が和平の手段として王族交換を行った。
その為、スカーレットはこの国に来た。
両国の和平は保たれ、スカーレットは国賓として扱われていた。
だがベルヌープ側の王子が不慮の死を遂げたことで、
事態は一変する。